代表からのメッセージ


「設立への想い」

 この会社を設立した2015年は、私が医者になって約20年を迎えようとする時期でした。この間、がん治療は大きく様変わりし、診断技術の進歩や低侵襲手術の確立、分子標的薬剤などの新規化学療法の登場、支持療法の確立など多くのイノベーションが生まれてきました。また新薬開発においては、先人達の基礎研究が実を結び、特にこの数年は免疫療法が非常に大きなインパクトを与えています。

 私は大学卒業後がん治療を学ぶため東京都立駒込病院(現がん・感染症センター都立駒込病院)の外科レジデントを選択し、完全切除による根治を目指した国内トップクラスの手術手技とがん治療の根幹を勉強させて頂きました。「がんを治す」という強い使命感はここで身についたように思います。その後、低侵襲手術時代の幕開けとともに昭和大学横浜市北部病院消化器センターの創立当初から参加し、鏡視下手術さらに内視鏡診断・治療において最先端の技術を学ばせて頂きました。しかしながら実際の診療ではがん治療の難しさを痛感する場面を幾度も経験し、私は新しい治療戦略を求めて大学院での研究を決意し、東京大学医科学研究所で初めてがん免疫療法の研究に携わりました。学位取得後は米国City of Hope National Medical Centerに留学し、がん免疫療法の基礎研究だけでなく臨床のカンファレンスにも毎週参加させて頂き多くの経験を積むことが出来ました。単なる文化の違いだけでなく、基礎研究から臨床開発に至るまでのアカデミアとベンチャー・製薬企業との連携、がん免疫領域における多様な新薬開発・治験の規模など様々な違いを認識するようになり、同時にこの留学期間を通じて多くの仲間と出会い、私たちの世代でこれから何をすべきかを考えるようになっていきました。

 帰国後、私は母校の宮崎大学で臨床医として再スタートしましたが、現場の仲間達に支えられ、また前職でお世話になった師匠・先輩達から御指導して頂きながら何とか一人前の外科医として復帰することが出来ました。しかし、同時にがん治療の最前線に戻ってくると、改めて現場の厳しさ、患者さんや家族が直面する現実に無力さを感じずにはいられませんでした。大学卒業後一貫してがん領域にフォーカスし、多くのがん患者さんと接してきましたが、私の中では常に治せなかった患者さんたちの記憶が鮮明に残っています。そしてこれまでがん治療に貢献し続け私を御指導くださった先生方ですらがんに倒れるという悔しさも経験してきました。

 近年のがん治療における免疫療法の発展は目覚ましく、確実に治療成績を向上させつつあります。そして次世代型免疫療法として注目されるCAR-T細胞療法は一部の血液悪性腫瘍において劇的な治療効果を発揮しています。私はこの免疫療法でがんを克服する未来を目指し、玉田先生を中心に革新的なCAR-T細胞とがん免疫療法の開発を志す仲間と共に新たな挑戦を決意し、ここに至っています。私達ノイルイミューン・バイオテックは一日も早くがんを克服する有効な治療薬を開発し、がん治療の診療現場で日々戦い続ける仲間達とともに、すべてのがん患者さんたちと次の世代に希望を届けたいと願っています。

代表取締役社長 石﨑 秀信

Noileの由来


 No illness” 「がんという病を根絶させたい」

 がんは昭和56年以降日本人における死因の第一位であり、年間30万人以上の方が、がんで亡くなっています。国民のおよそ2人に1人はがんに罹患する時代となり、外科療法・化学療法・放射線療法を標準治療としてきた中で、免疫療法の可能性は急速に拡がっています。私達の持つ免疫力は私達自身から発生するがんを監視しそして攻撃する力を持っており、免疫療法は全てのがん患者さん達が自己の免疫力でがんを克服する可能性を秘めています。近年の真に有効ながん免疫治療薬は治療成績を大きく後押ししていく臨床試験データとして証明されています。

 No immunity, No life 「免疫なくして生命は成り立たず」

 私達の体に備わる免疫機構は人類の誕生から今まで生き長らえてくるまでに必須のものでした。歴史上それは感染症との戦いでしたが、近年の分子生物学および腫瘍免疫学の発展とともに、がんとの戦いに変わりつつあります。2010年以降、真に有効性を証明できる臨床試験の結果が続々と出始め、チェックポイント阻害剤といった抗腫瘍免疫応答を利用したがん治療薬が誕生するに至りました。この潮流は留まることなく2013年にScience誌はがん免疫療法をBreakthrough of the yearに指定、また2014年には米国食品医薬品局(FDA)がキメラ抗原受容体(CAR)を用いた遺伝子改変T細胞療法(CAR-T)を画期的新薬(Breakthrough therapy)に指定し、2017年にはCD19を標的としたCAR-T細胞療法が米国で承認申請に至っております。がん治療においていまや免疫機構は基盤的概念となり、新しい時代に入りつつあります。

 ノイルイミューン・バイオテック株式会社はアカデミア発ベンチャー企業として国立がん研究センター(National Cancer Center,以下NCC)および山口大学と連携しながら研究開発を行っています。NCCは日本のがん診療の拠点となる最大の国立機関であり、欧米に先行されるがん新薬開発において、日本からのグローバル開発を目指す上で早期開発試験を実施していく重要な拠点でもあります。私達は、米国アカデミアでチェックポイント阻害剤の開発にも携わるなどの実績を残してきた研究チームを擁し、がん治療のなかでも次世代型の治療として特に注目を浴びているCAR-T細胞療法を主軸に開発を促進し、新規治療を待ち望む多くのがん患者さんに日本発となる新薬を届けるために貢献します。